WALTHAM 16SIZE及び14SAZEの1895年、1888年モデルで部品がよく折れている懐中時計が多くあります。私も2年ほど前に16サイズの時計を入手しましたがこの部品が折れていて困っていました。この部品の名前はClutch Springと言います。この部品1個で3役の仕事します。カンヌキ、カンヌキバネ、カンヌキ押えです。しかし、非常にバネ部が薄くて折れやすいのです。今回、友人からSK材板(工具用炭素鋼)2.2tを頂いたので別作してみました。まず、2.2mm厚を0.8mmまで薄く削って作りました。今回は折れたのをローズ付けしていたので元の正しい形が分からず苦労しました。完全に整形が出来たら焼き入れをして焼戻し(300°)をして磨きの行程で8時間もかかりました。組み立ての時点でも少しずつ整形しながら調整をしました。組み立て終了後何回もテストをしましたが調子は良好です。この位の完成度の部品製作が出来る日本人は現在では私を含め3人位でしょう。